2階にリビングのメリットデメリット
一戸建ての場合、リビングの配置はどこにした方が良いでしょうか。一般的には、1階にリビングやキッチンダイニング、そして2階に寝室や子供部屋などの個室をと想像するかと思います。しかし、住宅が密集した土地や、狭小地といった立地条件で2階にリビングという選択肢も増えてきています。そこで、2階リビングの魅力や特徴、メリットやデメリットについて考えていきたいと思います。
2階にリビングのメリットは?
2階にリビングを配置することで、大きく分けて4つのメリットが考えられます。
明るく風通しが良い
1つめは、なんと言っても日当たりが良くなるため明るいリビングをつくることができます。そして、窓の配置をしっかり計画すると風通しも良くなります。立地条件が悪い場所での1階リビングは周りの建物の影響を受けやすいですが、2階であれば良好な環境を生み出すことができます。さらに、階下が個室などの空間となるため、1階に比べると比較的暖かくなります。
景色が良い
2つめは、窓から眺める良い景色がつくりやすことです。立地条件にもよりますが、1階に比べると隣地の建物や塀など視界を遮るものが少ないので開放的な景色を眺めることができ、バルコニーへのアプローチをつなげることで、さらに開放的な空間となります。また、間取りや窓の配置を考えることで、大きな窓でも人目を気にすることなくのんびりと過ごすリビングもつくることができます。
空間を有効活用しやすい
3つめは、屋根裏の空間を有効活用できることです。2階のリビングでは上に個室などの部屋がないため、屋根形状を活かした空間をつくりだすことができ、高い天井や勾配天井、ロフトや収納をつくることができます。
建物のバランス(耐震性)が優れる
2階にリビングのデメリットは?
上記のメリットだけ見れば2階のリビングの配置はとても魅力的ですが、やはりデメリットもあります。大きく分けて4つのデメリットが考えられますので、注意すべきポイントをしっかり把握しておきましょう。
階段の上り下りが大変
1つめは、階段の上り下りが大変です。2階にリビングを設けると、ダイニングやキッチンの配置も2階にするプランニングが多くなります。買い物袋を持ちながらの階段の上り下りや、来客がある時、郵便の受け取りなど階段の上り下りがどうしても多くなります。また、若いうちは大丈夫ですが、年を追うごとに足腰が弱まってくると辛く感じるかもしれません。
防犯面が心配
2つめは、防犯面が心配ということです。1階のドアや窓の鍵を閉め忘れていることに気付かず、2階のリビングでテレビを見たり家族で過ごしていると、1階に空き巣や不審者が侵入しても気づきにくいです。
家族の帰宅に気付かない
3つめは、家族が家に帰ってきたことに気づきにくくなることです。2つめのデメリットに似ていますが、子供が帰ってきても、玄関からすぐに自分の部屋に入る場合が多くなります。「いつ帰宅したのかわからない」「いつ出かけたのかわからない」ということにもなりかねません。
夏場は暑くなりやすい
4つめは、夏場は暑くなりやすいことです。日当たりが良くなる分、部屋の温度も上がりますし、屋根形状に合わせた勾配天井とした場合屋根からの熱の影響も受けやすくなります。
デメリットに注意して計画する
●階段の上り下りが大変というデメリットでは、折り返しの階段にする、蹴上げの高さを低くする、階段の幅を広くとるなど老後のことを意識して計画を進めましょう。また、病気などで介護が必要となった場合のことも考え、将来エレベーターを設置できるような間取りにすることも必要です。
●防犯面が心配というデメリットでは、窓には面格子をつける、シャッターを設ける、玄関ドアは自動ロックにするなどの防犯設備を向上することが大事です。
●家族の帰宅に気付かないのデメリットでは、子供の部屋は2階に設ける、一部吹抜けにして人の気配を感じれるようにするなど間取りの配置に工夫を施すことが必要となります。
●夏場は暑くなりやすいのデメリットでは、屋根断熱の性能の向上、シーリングファンを設ける、窓の配置計画をしっかりとすることで風通しを良くするなどで快適に過ごすことができます。
2階にリビングを配置することは、しっかりと将来を見据えた計画やデメリットに注意して間取りの計画を立て、しっかりと対策を考えることが大事です。工夫次第では快適に過ごすことができますので、メリットとデメリットを並べて総合的に判断し、ご自身やご家族に合った家づくりを目指しましょう。
2階リビングは健康にも良い!?
2階にリビングを設けるデメリットとして、階段の上り下りが大変ということがありました。頻繁に上り下りすることは億劫となるかもしれませんが、考え方を変えると、その分暮らしの中で知らずの間にちょっとした運動になっているのです。
普段、運動したくても時間がとれない方や、仕事で疲れてしまってジムに行く気力がないなど、ついつい運動不足になりがちです。また、車やバイク、エスカレーターやエレベーターなどに乗り、気付いたらあまり歩いていない日が続くときもあります。
日本体育協会スポーツ科学委員会によると、階段を上ることで1分間で約0.135kcal×体重分、階段を下ることで約0.066kcal×体重分のカロリーを消費しており、ジョギングをするよりも階段を上り下りした方が消費カロリーが多いのです。階段ダイエットという言葉があるくらい、基礎代謝をあげたり、下半身のダイエットにも効果があるそうです。
運動不足は人間の身体に様々な大きな弊害をもたらします。そうならないためにも、毎日の暮らしの中での階段の上り下りを「ちょっとした運動」と考え、健康のためと意識してみてもいいかもしれません。